凌霜第408号 2016年01月01日

ryoso408.jpg凌霜四〇八号目次

 

◆年頭に当たって―理事長からのメッセージ(19)―   高 﨑 正 弘

◆母校通信                            藤 田 誠 一

◆六甲台だより                                  鈴 木 一 水

◆本部事務局だより               一般社団法人 凌霜会事務局

 臨時理事会で代議員選挙の選挙人資格、定数など決定/

 「終身会費納入制度」「口座自動引き落とし」などのお知らせ/

 ご芳志寄附のお願い/事務局への寄附者ご芳名/

 【代議員選挙のお知らせ】/新入準会員

◆(公財)六甲台後援会だより(43

                     (公財)神戸大学六甲台後援会事務局

◆大学文書史料室から(17                    野 邑 理栄子

◆凌霜俳壇  古典和歌

◆学園の窓     

 国立大学改革問題と経済学部の教育・入試改革          岩 壷 健太郎

 バークレイにおける環境・エネルギー法教育                島 村   健

 在外研究活動を終えて                           北 川 教 央

 正直じゃんけん                               岡 田 陽 平

◆末永山彦さんと私                          新 野 幸次郎

◆表紙のことば 木橋のある風景                    野 口 順 一

◆学生の活動から 第36回六甲祭を終えて           大須賀 香 代

◆マンドリンクラブ創部100周年記念行事           岡 部 幸 夫

◆六甲台就職情報センター NOW ―コモンセンス―  浅 田 恭 正

◆リレー・随想ひろば

 南インドに邦銀の支店を開設した時              松 田 孝 男

 公共工事の復権を                           佐 竹 令 次

 一年目と二年目                               橋 本   悠

 本学での学びを振り返り                        柴 田   曜

◆クラス大会 しんざん会、不惑会、18会、凌霜23

◆クラス会 しんざん会、神五会、さんさん会、三四会、

      三四会・傘寿記念「東京特別美術展」の予告、珊瑚会、

      イレブン会、むしの会、不惑会、双六会、大阪四一会、

      神戸六七会、教養11クラス会...43年入学

◆支部通信 東京、京滋、大阪、神戸、鳥取県、愛媛県

◆つ ど い 幸ゼミ、北野ゼミ15回生、男声合唱団グリークラブ、

      神大クラブ、神戸市役所六甲台会、水霜談話会、

      大阪凌霜短歌会、東京凌霜俳句会、大阪凌霜俳句会、

      凌霜川柳クラブ、神戸大学ニュースネット委員会OB会

◆ゴルフ会 凌霜霞会、名古屋凌霜会、芦屋凌霜KUC会、能勢神友会、

      茨木凌霜会、廣野如水凌霜会、垂水凌霜会、花屋敷KUC会

◆物故会員

◆国内支部連絡先

◆編集後記                                 鈴 木 一 水

◆投稿規定

<抜粋記事>

年頭に当たって―理事長からのメッセージ(19)―

             一般社団法人凌霜会

      公益財団法人神戸大学六甲台後援会

                理事長 高 﨑 正 弘

 凌霜会会員の皆さま明けましておめでとうございます。皆さまにおかれましてはお健やかに新しい年をお迎えになったことと存じます。

 さて、昨年は国内外をはじめ母校においても様々な動きがありました。中国経済の減速感が、原油価格や鉱物資源の価格低下などを通じて資源国や発展途上国の経済にも影響を与えました。また、TPPの大筋合意を受け、今後の我が国の農畜産業のありようを巡って色々な議論が起こっています。

 母校においても、武田新学長体制がスタートし、文科省が進める国立大学3分類のなかで「世界で卓越した教育研究」大学を目指すことが打ち出されました。今年4月に始まる第3期中期目標・中期計画の中身がこれを裏付けるものとなることが求められています。これ以外にも、前10月号の「神戸大学六甲台後援会だより」で取り上げました「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直し」に関する文科省通知や、運営費交付金削減継続の一方で、授業料や寄附金などの自己収入の強化を通じて、2030年代初めまでに運営費交付金と自己収入が同程度になるようにといった財務省方針も示されました。

 これらの性急な動きに対しては、日本学術会議や国大協に加えて一部識者からも色々な意見や問題点の指摘が出ており先行きには不透明感が残るものの、このような外部の動きに身を任せ座して待つ訳には参りません。どのような局面が来ようとも、自ら改革を進めるなかで、新しい時代に対応していかなければならないことは明らかであります。哲学者のハーバート・スペンサーの編み出した造語「適者生存」は、自然界だけではなく、人間社会・組織にも相通ずるものと思っています。

 母校においては新しい環境変化に対応すべく、卒業生との絆の強化・再構築を目指してその推進窓口となる「卒業生課」が企画部内に設置されました。形式は整いましたがこれをキッカケとして、大学当局・同窓会組織が一体となって同窓会の組織力・財務力の強化や大学支援の充実など、その活動の中身をより実りあるものとしていくことが今後の共通課題であります。凌霜会はその先頭に立たなければならない立場にあると考えていますので、ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

 凌霜会にとりましても昨年は実り多い1年となりました。神戸高商水島銕也初代校長生誕150年記念事業のご縁で先生の生誕地大分県の広瀬知事が母校を訪問され、学長はじめ関係者とご懇談の後、社会科学系図書館にあります壁画「青春」を鑑賞され、神戸と大分の絆の歴史に大いに感動されていました。この壁画はご承知のように、広瀬知事の祖先に当たる大分日田の私塾「咸宜園」を開いた儒学者広瀬淡窓の漢詩をベースに卒業生の中山正實画伯が描かれたもので、水島先生への畏敬の念を込めて、天を指さし、若人により高い真理の追求を求める姿が描かれています。生誕地中津市においても、そのご功績を讃えるマンガ本「明治・大正期の教育者 水島銕也」が刊行され、地元が育んだ偉人の一人としてその再評価の動きに繋がっています。文部科学省が、「知識」一辺倒の教育から「知・情・意」の総合力を重視する姿勢を打ち出し、「人づくり」や「人間力強化」の議論が広がるこのタイミングでの、時代の流れにマッチした記念事業となりました。ご尽力いただきました皆さまに改めて深くお礼申し上げます。

 卒業生による寄附講義「社会科学の実践」も関係者のご尽力で開講にこぎ着けました。昨年10月2日の新野元学長の「神戸大学の生い立ちと凌霜の絆」を皮切りとして順調に進み、この1月8日をもって27年度分は終了します。受講者は250名前後に及び、空席がないような状況が続いたとの報告を受けています。卒業生各位の後輩を思う気持ちと、自らの領域を広げたいとの学生諸君の想いが一つになって、所期の目的を達することが出来ました。28年度についても、大学のクオーター制導入との調整などの作業が順調に進んでおり、この稿が皆さまのお手元に届く頃には予定通り全てが着地していると思っています。

 冒頭にも述べました通り、本年4月から母校の第3期中期目標・中期計画がスタートします。その中身は盛りだくさんでここには書ききれませんが、大きな柱の一つに「留学生の受け入れ強化」と「外国人教員の増強」、「在校生の海外留学支援」などがあることは「神戸大学とわたし」№12の神戸大学基金の事業展開のなかに詳しく示されています。問題は、これら施策に係る財源面の裏付けであります。国に全てを期待することは難しく、多くは大学基金、なかでも使途に制約のついていない「基盤事業向け基金」に依らざるを得ないのが実情であります。

 ところが、この基盤事業向け基金の残高は大学発表の資料によりますと、26年度末には4億4千万円程度となっており、ここ数年は毎年数千万円単位で減少しています。武田新学長が機会あるごとに財政面の強化を訴えておられる背景の一つがここにあると思っています。新設の「卒業生課」を中心に、今までとは一味違った大学当局の頑張りに期待するところは大でありますが、卒業生も傍観者に終始することなく母校の明日を見据え、出来る限りの協力をしていかなければならないことは明らかであります。

 学友会の財務基盤の強化を通じた大学基金への寄附金増額、あらゆるチャネルを活用した法人へのアプローチ支援等やるべきことは数多くあります。これら諸施策に協力する上で、凌霜会としても他同窓会組織と同様、その存立基盤である会員の増強・絆の強化が永遠のテーマであります。平成2411月に始まった「会員増強対策委員会」、その後を受けて平成26年4月にスタートした行動部隊「会員増強対策実行委員会」を中心に、委員の皆さまにはご苦労をおかけしていますが、その成果は徐々に挙がってきています。目を見張るような大ホームランを狙うことは難しく、植木に水をやり丹念に育てるような地道な活動に、委員の皆さまには汗を流していただいています。凌霜会会員の皆さまの、委員各位へのご支援・ご協力を宜しくお願い申し上げます。

 寄附に関して以前より、大学基金と凌霜会や六甲台後援会のいずれを優先すればよいのかといったご質問を受けることがあります。この点に関しましては、既にご承知の方も大勢いらっしゃると思いますが、新野元学長が六甲台後援会理事長でおられた当時、「法人の寄附は大学基金へ、個人の寄附は寄附者それぞれの想いで」と整理されています。現在もこの考えを引き継いでいますのでご理解の程宜しくお願い申し上げます。私の属する凌霜三四会は、卒業50周年記念では六甲台講堂改修資金として大学基金に、一昨年10月の卒業55周年記念では六甲台後援会にと、その時々の想いで振り分けています。

 平成28年も幕を開けました。やるべきことは多々ありますが、凌霜会としては、「凌霜会員向けの諸事業の更なる充実」「全学同窓会組織学友会の活性化への協力」「大学との協働作業の強化」をその柱に据え、時代の潮流を見据えてやるべきことをしっかりとやって参ります。公益財団法人神戸大学六甲台後援会と協働しての社会科学系部局への支援充実が、我々の第一義的使命であることは改めて申すまでもありません。

 凌霜会会員向け事業のなかでは、その存在感が高まっている準会員向けの事業強化が大きな課題です。平成20年施行の公益法人制度改革に伴って、凌霜会など一般社団法人にあっては、法人の事業実施に必要な経費をカバーする為の会費の納入が法律で会員に義務付けられています。これを前提に、凌霜会の平成27年7月末の会員総数は1万1、815名、うち卒業生正会員9、133名、在学中の準会員2、682名となっています。

 会員総数の22・7%が準会員の皆さまで占められています。先の寄附講義の継続開催や就職情報センター活動の更なる充実、六甲祭や新入準会員歓迎会・卒業謝恩会などの準会員諸行事への支援強化などに引き続き取り組んで参ります。

 就職情報センターの相談員の皆さまとは年1~2回情報交換を兼ねて懇談会を開催していますが、27年度は採用日程繰り下げの影響もあり、学生諸君、相談員とも今までとは違ったご苦労がありました。準会員の皆さまもこの点は敏感に感じておられ、次年度に向けての相談員の皆さまの更なるご尽力に期待しているところです。

 今年は代議員の改選期に当たります。法律の改正に伴って代議員の皆さまのご負担も増えていますが、凌霜会の活力ある運営に引き続きお力添え下さいますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、凌霜会諸兄姉の皆さまの変わらぬご支援、ご協力をお願いし、併せて、本年が会員の皆さまにとって素晴らしい年となりますことを心より祈念申し上げ、新年に当たってのご挨拶と致します。