凌霜第416号 2018年01月19日

凌霜-表紙416.jpg 凌霜四一六号 目次

◆年頭にあたって               大 坪   清 

◆母校通信                  藤 田 誠 一 

◆六甲台だより           行 澤 一 人 

◆本部事務局だより           一般社団法人 凌霜会事務局 

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◆寄附講義を平成29年度も開講  

◆【代議員選挙のお知らせ】        

◆凌霜俳壇  古典和歌  

◆(公財)六甲台後援会だより(51)      (公財)神戸大学六甲台後援会事務局 

◆大学文書史料室から(25)        野 邑 理栄子 

      神戸とアフリカの間              高 橋 基 樹 

◆学園の窓 研究とマラソンと私              末 石 直 也 

      課題を与えられて        瀬戸口 祐 基 

     2017年ノーベル経済学賞    安 部 浩 次 

◆表紙のことば     祥福寺 遠景    松 重 君 予 

◆六甲台ゼミ紹介 経営学部・平野光俊ゼミ  平 山 未 佳 

◆学生の活動から

 神大の魅力を世に伝える第一歩          菅 沼 俊 哉 

 秋新歓が終わって             木 村 英 幹 

 第38回六甲祭を終えて              中 井 美 月 

◆六甲台就職相談センターNOWセカンドステージ  浅 田 恭 正 

◆サッカー部創部百周年を祝う       長 木 義 明 

◆神五会60周年大会を終わって      鶴   浩 一 

◆東京六甲クラブ50周年記念合同演奏会を指揮して  中 島 良 能 

◆森口隆宏氏 素晴らしい『代表的六甲台人』
第1回経済学研究科功労者表彰式・表彰記念講演会に寄せて                               中 村  保 

◆関西凌霜人事担当役員・管理職懇談会のご案内     辻本 健 二 

       藤井聡太くん、ありがとう           原 木 庄 助 

◆随想ひろば 2本目の柱                   坂 元   剛 

       思い描いた理想と現実          保 田 奏 美 

◆クラス大会 神五会、神戸六七会          

◆クラス会予告 三四会  

◆クラス会 しんざん会、神五会、三四会、珊瑚会、イレブン会、      

      むしの会、双六会、E24(えにし)会

◆支部通信 東京、大阪、神戸、デトロイト        

◆つ ど い 幸ゼミ、占部ゼミ第13期、体育会ラグビー部OB会   

    二水会、神漕会、男声合唱団グリークラブ、クボタ六甲会、

      水霜談話会、大阪凌霜短歌会、東京凌霜俳句会、

      大阪凌霜俳句会、凌霜川柳クラブ

◆ゴルフ会 名古屋凌霜会、芦屋凌霜KUC会、廣野如水凌霜会、        

      能勢神友会、花屋敷KUC会

◆追悼 藻川恒夫君(昭34営)を送る      高 﨑 正 弘                   

◆編集後記                        行 澤 一 人 

                                             年頭にあたって

一般社団法人凌霜会理事長 大  坪     清

(レンゴー㈱会長兼社長)

 凌霜会会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。各地で穏やかに、そして健やかに新年を迎えられたことと心からお慶び申しあげます。

 一昨年6月に凌霜会理事長職を拝命して以来、丸一年と半年が過ぎました。この間、諸先輩方がこれまで築き上げてこられた凌霜の良き伝統をあらためて実感するとともに、会員各位にとって、より有益かつ有意義な組織として未来を担う若い凌霜の皆様により良い形で引き継いでいけるよう、当会設立の目的である、会員相互の研鑽と懇親、社会科学系学部の研究教育支援という2つの使命の充実に、今年も全力を尽くすべく決意を新たにいたしております。皆様方には、これまで以上のご支援ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

 さて、昨年も世界は大きく動いていることを実感させられるさまざまな出来事が国内外でありましたが、何よりも大きなトピックは、アメリカ・ファーストを掲げたトランプ氏の米国大統領就任です。その独特の政治スタイルは各方面に大きな波紋を呼び起こし、今日に至っても落ち着かない政権運営が続いています。

 一方、政治の混乱をよそに、米国をはじめ中国など新興国にいたる世界経済はいずれも好調を維持しています。米国の景気回復期間は昨年10月に100カ月となり、日本も同9月に「いざなぎ景気」を超える戦後2番目の長さとなる景気回復が続いています。

 安倍総理はトランプ氏とは極めて良好な関係を築いており、日米同盟の強化という面で大きく寄与しています。北朝鮮情勢をはじめ我が国を取り巻く安全保障環境を考えれば、これは非常に重要な点です。総理は今や世界を見渡しても最も安定感のある首脳の一人といえる存在であり、我が国の国益、国防という面においても非常に重要な要素となっています。世界を見渡せば、トランプ大統領やドイツのメルケル首相をはじめ2021年までの任期を視野に入れたリーダー達で構成されており、我が国もその一員としてのプレゼンスを確保することが大切です。昨年10月に実施された総選挙は、その点からも極めて重要な意味を持った選挙でした。今我が国にとっての最重要課題は、国富、国防政策であり、そのためには危機統治政策、経済発展政策、社会保障政策を穏健な保守思想で進めるべきであり、常識(コモンセンス:Common Sense)と良識(ボンサンス:仏語bon sens)を持って国政を進めていただきたいと思います。

 先ほども申しあげました通り、世界的に経済は好調に推移しており、この状況は今年も続くものと思われます。私はこれまでも日本経済はゴールデン・サイクルに入っており、景気は良くなると申しあげてきました。すなわち、短期、中期、長期、超長期全ての経済循環が上向きの状況にあり、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動懸念、地政学的リスクはあるものの、政治の安定とプロビジネスな姿勢も寄与して今年も経済面では明るい年になるものと考えています。

 私がトップを務めている会社の本業である段ボールは、景気の短期指標にも利用されていますが、その動きを見ても世界経済の回復を反映して段ボールの消費が伸び続けています。国際段ボール協会(ICCA)の調査によれば、昨年2017年上半期の世界の段ボール需要は4.2%伸びました。米国は3%、中国は7.7%で、我が国でも1.9%の伸びです。その大きな要因としてあげられるのがeコマースの爆発的な伸長です。その背景にあるのは、第4次産業革命といわれる世界的な技術革新の進行です。第4次産業革命とはAI(Artificial Intelligence:人工頭脳)を作り上げ、IoT(Internet of Things)でモノとインターネットを直接結びつけることです。その主役はIoT、AI、ロボットといわれますが、本当に大事なのはCPS(Cyber Physical System)です。サイバーすなわちコンピューター・ネットワークと、フィジカルすなわち物や人間をどうつなぎ、うまく調整していくかが重要です。段ボールはそのフィジカルの部分を担っていますが、この第4次産業革命の影響がeコマースの伸長として表れてきており、段ボール需要も大きく伸びているのです。

 好調な経済の一方で政治や社会の面では、米国を筆頭に自国中心主義が叫ばれ国内外の摩擦も大きくなっています。IS(イスラム国)などによるテロも各地で頻発しており、難民問題とともに世界中に大きな影を落としています。また、引き続き、北朝鮮問題をはじめとする地政学リスクへの備えも怠れません。北朝鮮が発射したミサイルが2度も北海道上空を通過しましたが、北朝鮮の動きは実態としてはそれ以上に注意しなければならない状況にあります。昨年9月の6回目の核実験は非常に大規模で、水爆ではないかとも言われています。ミサイルが発射され我が国上空を通過する際、「Jアラート」と呼ばれる緊急速報が発信されますが、かつての戦争を知る世代としては、あれは紛れもなく「空襲警報」であり、むしろそう認識したほうがことの本質を見誤らないのではないかと思っています。

 昨年も申しあげましたが、現在はまさに〝VUCA〟の時代です。「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」を常に意識しながら、今しなければならないこと、自らの果たすべき役割を、世界を俯瞰しつつ真剣に考え、矜持を持って行動していく覚悟を持たねばなりません。国富、国益、そして最も重要な国防、これらのことを本格的に考えなければならない時期に来ているということです。

 このような中で、母校神戸大学は、武田学長が将来ビジョンとして「先端研究・文理融合研究で輝く卓越研究大学へ」を掲げ、文理融合を軸に世界最高水準の教育研究を目指しています。昨年度には、新たに科学技術イノベーション研究科を立ち上げ、理系で培った科学技術のシーズ(種)を着実に成果として社会実装していく能力を兼ね備えた人材育成の基盤を整備されました。ベンチャーを立ち上げ事業化にまで持って行くには、単にシーズだけでは駄目で経営に関する能力が必要になります。神戸高等商業学校を起源とし、日本で初めての経営学部を設置した神戸大には、非常に層の厚い社会科学系の先生が活躍しておられます。この神戸大の強みともいえる人的資源をフルに生かしつつ、科学技術のシーズを社会実装するところまで、文理が共に力を合わせて人材養成を行うのが新しい研究科です。科学技術アントレプレナーシップという会社も設立され、イノベーション研究科からシーズをもらいベンチャー企業を投資育成していく仕組みも整えられ、いずれも大変注目を浴びています。

 神戸高商の初代校長水島銕也先生は、実学重視の観点から独自の入試制度や教育課程を整備されました。神戸大には、先人達が築き上げた115年におよぶ輝かしい歴史と伝統が結びついて創り上げてきた文化が根付いており、それらは水島先生が命名された凌霜(漢籍で菊の意味)の精神に受け継がれ今日に至っています。先ほど、〝VUCA〟の時代と申しあげましたが、この不確実でますます不安定化する世界の中にあって、実学を重視する姿勢、真のリアリストとして目の前の現実を直視し、真摯に解決策を模索する姿勢こそが求められています。我々は水島先生の「凌霜雪而香」(霜雪を凌いで香ばし)、人生の試練に耐えて菊のように香り高く、美しかれという教えを胸に、困難な時代に立ち向かうとともに、良き伝統はそのままに、たゆみなき変革により新たな伝統を築いていくことで、これからも大学をサポートしてまいりたいと思います。

 戊戌(つちのえいぬ)の今年は「変化」の年といわれています。戊(つちのえ)は「茂が語源で、草木が繁盛して盛大になること」を表わし、戌(いぬ)は「切るという意味で、草木が枯死すること」を表わしています。一方が枯れて、一方が盛大になる、これは変化そのものです。平成の時代も来年4月で終わります。大きく変化する世界の中で、たゆみない努力と挑戦により、壁を乗り越え変化に対処するために、勇気をもって新しい時代に立ち向かう年にしたいと思います。

 最後になりましたが、凌霜会諸兄姉の皆様には日頃から、会員の増強、寄付金など多岐にわたるお願いをいたしておりますが、今後とも、凌霜生としての誇りと絆を繋ぐプラットフォームとしての当会を何とぞご支援賜りますとともに、共に母校のより一層の発展に向け努力してまいりたいと存じます。

 本年が皆様方にとって素晴らしい年となりますことを心より祈念申しあげ、新年に当たってのご挨拶とさせていただきます。